人の話を聞けない“ポジティブ押し付け野郎”は仕事も家庭も失敗する
こんにちは。サラリーマンメンタリストのtatsuです。
前回はバラエティ番組に出た出川哲朗さんのエピソード(参照:『英語ができなくてもオーストラリア人に“OK”を言わせた出川哲朗に学ぶ、必殺営業話法』)から、スキル思考が陥る罠をご紹介しました。
今回も、ビジネスパーソンがやりがちなある思考についての話です。 私は、ダメダメな営業マン時代、連日連夜、心理学や自己啓発の本を読み漁っていました。 実は、自己啓発書のほとんどは書いてあることは同じ。
特に多かったのが「ポジティブ思考が大事」という内容です。みなさん、こんな「コップのたとえ」を聞いたことはないでしょうか。
今、コップに半分の水が入っている。 このコップを「もう半分しかない」と思っているのか「まだ半分も残っている」と思うかで気の持ちようが違う。 「まだ半分も残っている」と思えば、ほとんどのことは大したことない! ……というものです。このコップのたとえ、ポジティブシンキングの例としてしばしば使われています。 当時の私も、仕事で辛いことがあったときは「まだコップが半分ある!」と希望を見出して己を奮い立たせたものです。
また、仕事やプライベートでの会話でも常に、周囲を明るくさせるために常にポジティブシンキングで話していました。
しかし、このポジティブ思考、使い方を誤るとたいへんなことになります。というよりも、特に仕事においては大きな失敗に結びつくことも少なくありません。 まずは、この会話例を見てください。 (株)扶桑工業の第二営業局に所属する伊藤さん(23歳)は3ヶ月前に部署が異動し、新しい先輩とうまく馴染めていないようでした。
この日は、前の部署で慕っていた中澤部長(35歳)に、残業後たまたま雑談になり、今の仕事で任される業務量がキツイことを伝えようとしていました。実は、先週転職サイトにも登録していたのです。 「中澤部長のいたころに比べて、業務量だけじゃなくて、数値目標も僕だけ厳しいんですよ……。ほんと勘弁してほしいです」 これに対して大雑把でポジティブ思考な性格の中澤部長はこう言います。 「おいおい、そんな深刻な顔するなよ!」 「いや、その……」 「最初は慣れないもんだよ。でもな、それは伊藤がそれだけ期待されてるってことだよ!」 「でも……」 「話があるなら、今日は飲みにいくぞ!もっとポジティブにならないと!」 こうして、その日は新橋の焼き鳥屋から部長のおごりで熟女キャバクラをはしご。伊藤さんは終電で帰宅したのでした。 伊藤さんが退職願いを出したのはそれから1ヶ月後のことでした。