オウム真理教と肉食オラオラ営業マンのダメな共通点

トップ営業マンは草食系が多い

営業職の私が言うのもなんですが、日本における営業マンのイメージはとても悪いと思います。  何かだまされて商品を売りつけられるのではないか、高い値段でもそれを言わずに商談されそう、体育会系のゴリラみたいな男性が勢いで話してくる……そんな悪いイメージが持たれているのは、メディアの影響が大きいと私は考えています。  テレビ番組などでは派手な研修をする飲食チェーン店や、厳しい飛び込み営業を課せられる不動産会社を特集で取り上げがちです。それは、おそらくおもしろい絵が取れるからでしょう。事実、そういうスタイルで全国トップの営業マンになったという人がテレビに出たり、書籍がベストセラーになったりします。  しかし、考えてみてください。  あなたが「ゴリ押し」で顧客に話しかける営業マンに商談されたら、どう思うでしょうか? 商品のメリットだけをひたすら説いてくる営業マンなど、まったく信用できないのではないでしょうか。  前回ご紹介した「NOと言われない交渉術は実践してはいけない」でもお話しましたが、世の中で目立っている方法が現実において本当に有効とは限りません。  ずばり、世の中のトップ営業マンの大半は、こうした肉食スタイルとは真逆の人たちなのです。

メリットばかり説くのはダメ営業マン

私の知り合いに、米国車を取り扱う販売店の営業マンがいます。彼は全国にある11店舗の中で営業成績トップを誇っていますが、見た目はのび太くん、肌は色白、声も大きくありません。  それどころか、お店を訪れたお客さんから「アメ車って、燃費悪いでしょ? それはやだなあ」と聞かれれば「はい、燃費はめちゃくちゃ悪いです!」と堂々と答えてしまう始末。  自社商品のデメリットを簡単に口にしてしまうのです。  しかし、これこそが彼がトップ営業マンである理由なのです。  心理学の言葉を使えば、商品のメリットだけ伝えるのを「片面提示」と言います。とにかく自社商品がいかに素晴らしいものか、買うべきかを説くスタイルですね。  一方、デメリットとメリットの2つを提示するのを「両面提示」と言います。  実は、両面提示ができる営業マンのほうが、営業成績がよいことが多いのです。特に、ネガティブなことは先に伝えれば伝えるほどよい。  なぜでしょうか。  それは私のダメ営業マン時代のエピソードを聞けばわかるかもしれません。  入社3年目ごろまでの私は、人見知りゆえに、自社商品のメリットをひたすら暗記し、クライアントの前では暗記したセリフを口にするように営業していました。いわゆる片面提示をしていたんですね。  自社が業界でナンバー1であること、他社より高いけれども品質は一番であること、今契約してもらえればサービスをつけること……。  しかし、いくら片面提示しても契約に至ることはありませんでした。  なぜか。  その原因に気づいたのは、ある取引先の51歳の常務の言葉がきっかけです。 「Tatsuさんは、自分の話ばかりするよね。人見知りなんでしょ? だったら、話すんじゃなくて聞けばいいんだよ」  そこでハッとしました。自社のメリットばかりを話す営業マンは余裕がないのです。自社のデメリットを指摘されると、すぐに否定する。それもすべて余裕がないからです。  言い換えれば、余裕のある営業マンがモテるのです。  その後、私は顧客の話をひたすら聞くことに徹する営業をしました。自社のデメリットを指摘されても、すべて認める。すると、最初は成績が出なかったものの、次第に契約に至るようになりました。  これは、信頼が生まれたからです。こちらに関心を持ってくれているし、デメリットを指摘すると、ちゃんと認める。そういう人と契約したいとクライアントは考えているのです。  もう人見知りの人がなぜトップ営業マンになるのかおわかりいただけたのではないでしょうか。  人見知りの方は、自分の話ばかりできません。自分に自身がないので、デメリットを指摘されたら潔く認めます。こうした行動こそがクライアントに信頼される秘訣なのです。

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